執筆:高柴 将太 弁護士  

 

1. はじめに

  新型コロナウィルスが流行する状況下で、今後の株主総会、一般社団法人及び公益財団法人(以下「社団法人」と言います。)の社員総会、一般財団法人及び公益財団法人(以下「財団法人」と言います。)の評議員会の開催につき、頭を悩ませている経営者の方がおられるかと思います。株主全員の同意が得られる場合、書面決議により決議を省略する(物理的に株主総会を開催しない)方法が考えられます。

2. 株主総会における書面決議による手続き方法

⑴ 書面決議とは?
  株主総会における決議事項について、議案に対する賛否を書面等で問い、総株主の賛成が得られれば、決議が成立したものとみなす制度です。

⑵ 決議の対象事項 
  株主総会の目的となる事項であれば、とくに制限はありません。すべての総会決議事項を対象とすることができます。もっとも、定款変更や組織再編行為等の重要複雑な事項については、会議体において十分審議することが適切といえますので、このような事項を決議事項とされる場合は一度ご相談ください。

⑶ 実施にあたり何をすべきか?
① 議案の提案
  取締役又は株主により書面により株主総会の目的となる事項につき、提案書を全株主に送付をしてください。
なお、取締役会設置会社である場合は、取締役会による決議が必要となるため事前に同決議をしてください。注意が必要な点としては、株主総会と異なり、取締役会の書面決議を行うためには定款でその旨を定める必要がございます。

② 株主全員から書面による同意を得ること
  議決権を有する全株主から同意書を取得してください。なお、指定するメールアドレスへのEメールの送信により同意を得ることも可能です。もっとも、提案内容と同意の意思表示が同じファイルに含まれる(上記ひな形書面に署名してもらい、その書面を添付してもらう等)ようにしてください(電子署名を利用したり、提案書に署名押印したPDFデータの送付を依頼したりするなど体制に合わせた手法を専門家と相談の上でご利用ください)。

③ 議事録の作成

④ 議事録及び②の同意書の備置
  ②の同意書については、10年間の保管義務がありますので、会社に保管をしてください。Eメールにより提供を受けた場合は、同意を得たデータの保管にご注意ください。

⑷ 効果
  上記手続により、株主全員の同意が得られた時点(最後の株主から同意書の送付を受けた時点)で、当該提案を可決する旨の株主総会決議があったものとみなされます。

3. 社団法人(財団法人)の場合

  社団法人の社員総会においても同様の手続があります。この場合下記のような手続が必要になります。

 ① 理事又は社員による議案の提案
 ② 社員全員の書面による同意
 ③ 議事録の作成
 ④ ②の同意書の備置

  なお、取締役会の書面決議と同じく、理事会の書面決議については、定款にその旨の規定を設ける必要がありますので、ご注意ください。また、財団法人、評議員会についても同様の手続きとなりますが、社団法人と異なり、利害関係のある評議員は同意の対象から除かれますのでご注意ください。

4. まとめ

  新型コロナウィルスが流行している状況下において、株主総会の延期、オンライン等での株主総会の開催等の方策が話題となっていますが、株主数が少なく、全員の同意が得られる会社におかれては上記のような手続で対応が可能となっています。株主総会の実施方法の選択肢の一つとしてご検討いただき、ご不明点等ありましたらお気軽にご相談ください。

以上