執筆:細田 隆 弁護士  

 

 令和3年5月19日、国会で金融機能強化法(正式名称は「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」)の改正法が成立し、地域金融機関の合併・統合といった再編に対して資金が交付される仕組みが創設されることになりました。この改正法は本年7月中には施行されます。
 昨年、地域金融機関の合併について独占禁止法の適用除外とする法改正が行われましたが、その改正に次いで、さらに、地域金融機関の再編を推進する仕組みが設けられることになります。以下この概略を説明します。

1.資金交付の対象となる再編
 資金交付の対象となるのは、地域金融機関が合併・経営統合といった抜本的な事業の見直しを行う場合です。まず、実施計画を策定して主務大臣(地方銀行の場合は内閣総理大臣)の認可を受ける必要があります。その後、預金保険機構に資金交付の申し込みを行う仕組みになっています。

2.資金交付の対象となる経費等
 資金交付の対象となる経費やその交付率の詳細は、今後資金の交付要綱が定められ、その要綱で示される予定です。これまでの金融庁の説明によると、システム統合費用や業務の集約・共同化に要する費用など合併等に伴い必要となる追加的な初期費用の一部とされ、経常的な経費への支援は行われない模様です。1件当たりの上限は30億円程度と想定されるとしています。

3.資金交付申し込みの期間
 資金交付の申し込みができるのは、令和83月末までで、約5年間の時限措置となっています。

4.財源
 資金交付の財源は預金保険機構の資金です。預金保険機構には地域金融機関に出資する制度があり、出資による配当金がこれまでに約350億円蓄積され、この蓄積が原資になります。したがって、直接国の一般会計税収が使用されるわけではありません。また、資金交付の総額もこの配当金の蓄積の範囲内ということになります。

5.今回の資金交付制度創設の効果
 地域金融機関が合併なり統合をする場合において、それぞれの金融機関の使用しているシステムが異なる場合には、合併なり統合の効果を上げようとすれば、システム統合は不可避です。また、業務の集約・共同化も当然必要です。こうした経費の一部に対して資金が交付されることになれば、合併・統合へのハードルが低くなり、地域金融機関の合併・統合が促進されることが期待されます。

以上